痛みの正体


その痛み、「神経のせい」だけではありません。本当の原因は“筋肉の酸欠”です。

痛みの正体とは

私たち人間が感じる痛みの多くは、神経そのものの異常ではありません。
原因のほとんどは、筋肉が硬く縮こまり、血管を圧迫することで起こる血流障害にあります。
この、諸悪の根源とも言える筋肉のこわばりを、私たちは「筋硬結(トリガーポイント)」**と呼んでいます。

なぜ、「筋肉の酸欠」が激しい痛みを引き起こすのか?

病院で「原因不明」と言われたり、レントゲンには映らなかったりする痛みの多くは、実はこの「筋硬結」の内部で起きている**“ミクロの事件”**が原因です。
硬くなった筋肉の中では、主に3つの現象が起こり、痛みの悪循環を生み出しています。

1.【痛み物質の放出】筋肉からの“SOS信号”

硬くなった筋肉は血流が悪くなり、深刻な「酸素不足」に陥ります。
すると、酸欠になった筋肉細胞は「ブラジキニン」という強力な痛み物質を放出します。これが、あなたが感じている“ズキズキする痛み”や“うずくような痛み”の直接的な原因**です。神経そのものが傷ついているわけではなく、筋肉が出すSOS信号が、激しい痛みとして感じられているのです。

2.【組織の酸性化】筋肉が“悲鳴を上げる”状態

酸素が不足すると、筋肉の中には「乳酸」が溜まり、組織全体が酸性(アシドーシス)に傾きます。
実は、私たちの身体には「酸」を感知すると興奮する痛みのセンサーがあり、この酸性の状態が“ジンジンするような、広がる痛み”**を引き起こします。運動後に筋肉が痛む感覚の一部も、これが原因です。

3.【トリガーポイントの形成】痛みの“悪循環の親玉”

上記の「痛み物質」と「酸」が溜まり続けた結果、筋肉の中に特に硬いしこり「筋硬結」(トリガーポイント)が形成されます。

この「筋硬結」(トリガーポイント)は、それ自体が痛みを出すだけでなく、少し離れた場所にまで痛みを飛ばす(関連痛)という厄介な性質を持っています。
「腰が悪いと思っていたら、実はお尻の筋肉が原因だった」というケースは、このトリガーポイントが“真犯人”であることがほとんどです。

放置する本当の怖さ ― “痛み”から“組織の破壊”へ

さらに問題なのは、この「筋肉の酸欠」が放置されることで、血流障害が慢性化してしまう点です。
栄養も酸素も届かない状態が続くと、筋肉やその周辺の組織は自力で修復する力(自己治癒力)を失ってしまいます。

その結果、やがては骨の変形(骨棘)や、軟骨のすり減り(半月板損傷など)といった、元には戻らない“組織の変性” へと進行してしまうのです。

つまり、今の痛みは、将来的な「治らないケガ」の“芽” を育てているのと同じこと。
そうなる前に、根本原因である「筋硬結(トリガーポイント)」を解消することが、何よりも大切なのです。